

学校を休む日が続くと、勉強の遅れも気になってきます。
一方で、知らない大人を子どもが受け入れられるか、費用に見合うのか、と迷う気持ちも自然なことです。
この記事の結論
家庭教師は、不登校の時期の学び方の選択肢の一つです。検討するなら、次の4つを確かめてから決めると、合わない契約を避けやすくなります。
- 本人が、家族以外の大人と勉強することを受け入れられそうか
- ほしいサポートは何か(学び直し・質問できる相手・学習の計画)
- 訪問型とオンライン型の、どちらが本人の負担になりにくいか
- 費用の総額と、やめるときの条件を確認できているか
家庭教師は必要? 検討する前に確かめること
結論
必ず必要、というわけではありません。本人が「少しなら勉強したい」と思えていて、1対1で教わると進めやすい場合に、検討する価値があります。
公的な考え方文部科学省の通知(令和元年)
不登校の子どもへの支援は、「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、子どもが自分の進路を主体的に考え、社会的に自立することを目指す必要がある、としています。
また、不登校の時期が休養や自分を見つめ直すなどの積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択での不利益などのリスクにも留意するよう示しています。
検討する前に、順番に確かめたいこと
ステップ1. 体調と生活のリズム
決まった時間に起きられる日が増えてきたか。短い時間なら、机に向かえそうか。ステップ2. 本人の気持ち
「勉強したい」「わからないところを聞きたい」という言葉があるか。家族以外の大人と話すことを、どう感じているか。ステップ3. ほしいサポート
遅れた単元を学び直したい/質問できる相手がほしい/何から始めるかを一緒に決めてほしい。どれに近いか。ステップ4. 学校との連絡
在籍している学校と、どんな連絡が取れているか。担任の先生などに相談できるか。


体調がすぐれない様子が続くときは
家庭教師のメリットと、事前に確認したいこと
一般的に挙げられるメリットは、次の4つです。それぞれ、申し込む前に確認したいことも添えました。
1. 自宅で学べる
- 特徴
- 家にいながら授業を受けられる。
- 検討できる場面
- 外出や通塾が負担になっているとき。
- 事前に確認
- 訪問型なら家に人を迎えられるか。オンライン型なら機器と通信環境があるか。
2. 理解度に合わせやすい
- 特徴
- 1対1なので、つまずいた単元まで戻って学び直せる。
- 検討できる場面
- どこから始めればいいか、わからなくなっているとき。
- 事前に確認
- 前の学年の内容から教えてもらえるか。
3. 個別に質問できる
- 特徴
- 「どこがわからないのかわからない」状態から、一緒に整理できる。
- 検討できる場面
- 大勢の前では質問しにくいとき。
- 事前に確認
- 授業の時間以外に質問できるかどうか。
4. 進め方を一緒に決められる
- 特徴
- 何から、どのくらい進めるかを先生と決められる。保護者が先生役を担わずに済む。
- 検討できる場面
- 家で勉強の話をすると、親子でぶつかりやすいとき。
- 事前に確認
- 進み具合を、保護者に伝えてもらえるか。
メリットは「必ず得られるもの」ではありません
家庭教師が合う可能性があるケース


こんな様子があれば、検討してみる余地があります
- 本人が「少しずつ勉強を始めたい」と話している
- 集団の授業より、1対1のほうが質問しやすい
- 家の中で学べる方法を探している
- 一人では、何から勉強すればよいか決めにくい
- 家族以外の大人となら、少し話せそうな様子がある
いくつ当てはまるかで決まるものではありません。当てはまる項目があれば、「5つの確認ポイント」に進んで、候補を比べてみてください。
急いで決めないほうがよいケースと、その場合の動き方
次のようなときは、申し込みを少し待ってもよいかもしれません。それぞれ、代わりにできることも添えました。
本人が強い負担を感じている
勉強や、先生とのやりとりそのものがつらそうなとき。
→ まずは休むことを優先する。勉強の話題は、しばらく控えてもかまいません。
今は休むことを優先したい
体調や、生活のリズムを整えることが先のとき。
→ 決まった時間に起きられる日が増えてから、改めて考える。
本人の気持ちをまだ聞けていない
保護者の希望が中心で、本人の意向を確認できていないとき。
→ 本人の考えを短く聞いてみる。その場で答えが出なくても、急がない。
費用や条件が負担になりそう
費用や利用条件が、家計の負担になりそうなとき。
→ 通信教材など、ほかの方法と比べてみる(通信教材の種類と選び方)。
家庭教師が悪い、ということではありません。今がそのタイミングではないかもしれない、ということです。申し込まずに、無料相談がある場合は話を聞くだけにする方法もあります。


家庭教師を選ぶときの5つの確認ポイント
候補を比べるときは、次の5つを確かめましょう。面談や問い合わせでそのまま使える質問の例も添えました。条件はサービスごとに違うため、最終的には各サービスの公式情報で確認してください。
1. 不登校への理解・対応方針
- 確認すること
- 不登校の子どもへの指導方針が示されているか。これまでどんな進め方をしてきたか。
- 質問の例
- 「最初は勉強以外の話から始めることはできますか?」
2. 学習内容や進め方の柔軟性
- 確認すること
- 授業の時間や回数を、様子を見ながら変えられるか。体調がすぐれない日の休みや振替の扱い。
- 質問の例
- 「当日に休む場合、授業はどうなりますか?」
3. 訪問型か、オンライン型か
オンライン型
画面越しに授業を受ける。家に人が来ない。住んでいる地域に関係なく先生を探せる。パソコンやタブレット、通信環境が必要。
訪問型
先生が家に来て、同じ机で教わる。対面で話せる安心感がある一方、家に人を迎えることが負担になる場合もある。
本人に聞いてみる:「家に先生が来るのと、画面越しと、どっちがいい?」
4. 総額の費用
- 確認すること
- 入会金・月謝・教材費・管理費、訪問型の場合の先生の交通費。月謝だけでなく、1年間の総額で比べる。
- 質問の例
- 「1年間続けた場合、総額でいくらになりますか?」
5. 体験・休会・退会・解約の条件
- 確認すること
- 体験授業の有無と条件。先生の変更、休会、解約の方法と条件。
- 質問の例
- 「先生と合わなかった場合、変更できますか?」
契約前に知っておきたいルール
用語解説特定継続的役務提供(特定商取引法)
長期・継続的なサービスと、高額な代金を約束する取引について、特定商取引法がルールを定めたものです。家庭教師のほか、学習塾や語学教室なども対象になっています。
家庭教師の契約は、条件によってはこの「特定継続的役務提供」にあたります。消費者庁の特定商取引法ガイド(新しいタブで開きます)によると、ポイントは次のとおりです。
対象となる契約
契約期間が2か月を超え、契約金の総額が5万円を超えるもの。総額には入会金や教材費なども含まれます。インターネットなどを使って行うオンライン型も対象です。
クーリング・オフ
法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録で契約を解除できます。教材など、あわせて購入した関連商品も対象です。
中途解約
8日を過ぎても、将来に向かって解約できます。事業者が請求できる額には上限があります。
- 授業の開始前:2万円まで
- 授業の開始後:受けた授業の対価に、5万円か1か月分の授業料相当額の低いほうを加えた額まで
期間や金額が条件にあたらない契約は、この制度の対象外です。解約の条件は、契約書面で必ず確かめてください。
契約前の確認リスト(候補ごとに使えます)
- 不登校の子どもへの対応方針が示されているか
- 授業の時間・回数・内容を、状態に合わせて変えられるか
- 入会金・教材費・管理費・交通費を含めた年間の総額
- 体験授業や無料相談の有無と条件
- 先生の変更を相談できるか
- 休会・解約の方法と条件(契約書面で確認)
家庭教師以外の学び方もある
学び方は、家庭教師だけではありません。ここでは短く紹介します。
通信教材・オンライン教材
人と話さずに、自分のペースで進めやすい方法。種類と選び方は「不登校中の勉強に通信教材を使うには?」で詳しく整理しています。
手元の教材での自宅学習
学校の教材や市販の問題集を、本人のペースで進める。
在籍している学校
担任の先生やスクールカウンセラーに相談する。
教育支援センター(適応指導教室)
教育委員会が設けている施設。相談のほか、通所してカウンセリングや教科指導、体験活動などを受けられる。名称は地域によって異なる。
フリースクール
学校以外で、同年代と過ごしたり学んだりできる場所。
文部科学省は、子どもが不登校になったときは、まず在籍校と十分に連絡を取ることが大切だとしています。教育委員会も、教育センターや教育相談所などに相談窓口を設けています。
知っておきたい制度自宅での学習の「出席扱い」
小・中学校など義務教育段階の子どもが、自宅でICTなどを活用して学習した場合、要件を満たせば、在籍校の校長の判断で指導要録上の出席扱いとなることがあります(文部科学省・令和元年の通知)。主な要件は次のとおりです。
- 保護者と学校の間に、十分な連携・協力関係があること
- 訪問などによる対面指導が、適切に行われていること
- 本人の理解の程度を踏まえた、計画的な学習プログラムであること
- 基本的に、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられない場合であること
家庭教師を利用すれば出席扱いになる、というものではありません。気になる場合は、まず在籍校に相談してみてください。
子ども本人が悩みを抱えているときは
よくある質問
不登校になったら、勉強はすぐ再開させるべき?
すぐに再開しなくても大丈夫です。心や体が疲れている時期は、休むことが先になる場合もあります。
本人が「少しならやってみたい」と話したときや、決まった時間に起きられる日が増えてきたときは、短い時間から始める方法もあります。
子どもが家庭教師を嫌がる場合は?
無理に進める必要はありません。まずは、何が嫌なのかを本人に聞いてみてください。
勉強そのものが負担なのか、知らない大人と話すことが負担なのかで、選べる方法は変わります。人と話さずに進められる教材から始める、時期を改める、という選択もあります。
オンライン家庭教師と訪問型は、どちらがよい?
どちらが優れている、というものではありません。家に人が来ることへの抵抗感、画面越しの会話への慣れ、通信環境などで、合う形は変わります。
体験授業が用意されている場合は、本人が実際に受けてみて、感じたことを判断材料にしてみてください。
無料体験だけ利用してもいい?
体験だけで申し込まないことも、選択肢の一つです。体験は、本人との相性や進め方を確かめるための機会です。
ただし、体験の有無や条件、体験後の案内の方法はサービスによって違います。申し込む前に、公式サイトで条件を確認しておくと安心です。
家庭教師を始めるタイミングはいつ?
決まった時期はありません。本人が学ぶことに少し気持ちが向いてきたときや、生活のリズムが整ってきたときが、話し合うきっかけになります。
受験や進級など、期限のある目標がある場合は、在籍校とも相談しながら考えてみてください。
まとめ:確かめてから、本人と一緒に選ぶ
この記事のまとめ
- 家庭教師は、不登校の時期の学び方の選択肢の一つ。すべての子どもに必要なわけではない
- 検討する前に、本人の気持ち・ほしいサポート・訪問型かオンライン型か・費用と条件を確かめる
- 候補は、対応方針・柔軟性・形式・総額・解約条件の5つで比べる
- 契約は、クーリング・オフや中途解約のルールも知ったうえで、書面で確かめる
次にすること
ステップ1. 本人に聞いてみる
「先生と少し勉強してみる?」「家に来るのと画面越し、どっちがいい?」と、軽く聞いてみる。ステップ2. 候補を2〜3つ比べる
公式サイトや資料で、5つの確認ポイントを比べる。わからない点は、質問の例を使って問い合わせる。ステップ3. 体験で本人の感想を聞く
体験授業がある場合は受けてみて、本人がどう感じたかを一番の判断材料にする。
家庭教師を利用すること自体が、ゴールではありません。大切なのは、本人が安心して学べる方法を見つけることです。

出典・参考資料
- 文部科学省「不登校への対応について(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)(令和元年10月25日)(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「(別記2)不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「24時間に相談できる窓口(新しいタブで開きます)」
- 消費者庁「特定継続的役務提供|特定商取引法ガイド(新しいタブで開きます)」
いずれも 2026年10月16日 に内容を確認しました。

