保護者
学校に行けていないけど、高校には行けるのかな…。
ゆう
選択肢はいくつかあります。地域や学校で条件が違うので、確かめ方から一緒に見ていきましょう。

中学3年生が近づくと、高校受験のことが気になってきます。欠席が多いと不利になるのでは、そもそもどんな進路があるのかわからない、と感じている方も多いと思います。

この記事の結論

不登校の経験があっても、中学卒業後の進路には全日制・定時制・通信制の高校や高等専修学校など、いくつかの選択肢があります。

ただし、欠席や調査書の扱いは、都道府県や学校によって違います。まずは次の3つを確かめましょう。

  1. 中学校の進路担当の先生に、本人の状況で受けられる選抜を相談する
  2. 住んでいる都道府県の、最新年度の入学者選抜の要項を確認する
  3. 気になる学校の募集要項で、選抜に使う資料(調査書・学力検査・面接など)を確認する

不登校でも、中学卒業後の進路は選べる

中学卒業後の進路は、一つではありません。高校だけでも、学校教育法で全日制・定時制・通信制の3つの課程が定められています。今は進路の話をしづらい場合の考え方も、この記事の後半で紹介します。

公的な考え方文部科学省の通知(令和8年6月)

高校入試について、学ぶ意欲や能力のある不登校の生徒の、学校外での学びを含めた日頃の努力を適切に評価することが望まれるとしています。

また、在籍する学校での出席の状況だけをもって不利益な取り扱いをしないようにすること(例:欠席日数だけで出願を制限しない)や、自己申告書や学校以外の場での学習状況の資料を選抜で考慮することなどの配慮も、望まれるとしています(通知本文)。

これは国から教育委員会などへのお願いです。実際の選抜の方法は、都道府県や学校が決めます。

中学卒業後の進路を比べる

まずは、制度上の基本的な違いを表で比べてみましょう。登校のしかたと卒業・修了したときに得られるものが、大きな違いです。

4つの進路の違い(制度上の基本)

学校教育法、通信制高校のよくある質問、高等専修学校の解説(いずれも文部科学省等)をもとに作成。高等専修学校の修業年限は、法令上は1年以上で、学科によって違います。登校する日数や時間帯、入試の方法、費用は、同じ種類でも学校ごとに違います。

次に、本人の希望と照らし合わせながら、学校ごとに確かめたいことを見てみましょう。どれが向いているかを決めつけず、判断の材料として使ってください。

希望と照らし合わせる/学校ごとに確かめる

学費と支援制度は、どこで確かめる?

授業料については、高校(全日制・定時制・通信制)と専修学校の高等課程は就学支援金の対象です。ただし、在学期間などの条件があります(就学支援金のQ&A)。支給額や都道府県独自の支援は、志望校と、住んでいる都道府県に確認してください。

用語解説「サポート校」は高校とどう違う?

通信制高校に在籍しながら、学習面などの支援を受けるために別に通う民間の施設を「サポート校」と呼ぶことがあります(文部科学省の資料では「民間のサポート施設」)。サポート校は通信制高校とは別の施設で、高校の卒業(全課程の修了)を認めるのは、在籍する高校の校長です(学校教育法施行規則 第96条)。

サポート校は就学支援金の対象ではありません。両方に通う場合は、それぞれの費用を確かめましょう。

高校進学以外の道を考える場合

すぐに高校へ進まない選び方もあります。たとえば、高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)は、受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人が受験でき、合格すると大学入学資格が得られます(18歳になった日の翌日から)。

ただし、合格しても最終学歴は「高等学校卒業」にはなりません(文部科学省のQ&A)。高校を卒業することとは別のものとして考えてください。

また、令和元年の通知は、中学卒業後に進学も就労もしていない人などに対して、相談できる窓口や支援が必要だとしています。卒業後に考え直すことも、選択肢の一つです。

不登校の経験は高校受験にどう影響する?

結論

影響があるかどうかは、都道府県と学校の選抜方法によって違います。「欠席日数は関係ない」とも「必ず不利になる」とも、一概には言えません。公立高校は都道府県などの要項、私立高校は各校の募集要項で確かめます。

欠席日数はどのように扱われる?

公立高校の入試は、都道府県などがそれぞれ方法を決めています。文部科学省の令和7年度の状況調査を見ると、欠席や調査書の扱い、不登校経験のある生徒への配慮は、都道府県によって大きく違います。

不登校経験のある生徒への配慮(令和7年度入試・公立高校)

数字は都道府県の数です。文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」より。最新年度とは扱いが変わっている可能性があり、私立高校は含みません。

私立高校の選抜は、学校ごとに決められています。欠席の扱いは、各校の募集要項や個別相談で確かめてください。

内申点や調査書はどう確認する?

調査書(内申書)は、中学校が作成して志望校に提出する書類です。各教科の成績(一般に「内申点」と呼ばれる評定など)や出欠などが記載されることがあり、記載する事項は都道府県の様式によって違います。

同じ調査では、学校以外の場(家庭を含む)での学習状況を調査書などに反映できるとしている都道府県や、不登校などで評定がつけられない場合の扱いを別に定めている都道府県もありました。

保護者
うちの子の調査書には、どう書かれるんだろう…。
ゆう
中学校の担任や進路担当の先生に聞くのが確実です。教育支援センターやオンライン学習など、学校の外で学んでいることも伝えておきましょう。

入試で配慮を受けられる場合はある?

上の表のとおり、欠席が多い理由などを本人が説明できる自己申告書を提出できる都道府県は多くあります。自己申告書は、「年間30日以上の欠席」などを提出の条件にしている例もあります。同じ調査の記載例には、長期欠席の生徒を対象にした選抜を設けている都道府県もありました。

申請の条件や期限は、地域ごとに違います

自己申告書などを出せるかどうか、条件、様式、提出期限は都道府県によって異なり、受けられる配慮があるとは限りません。必ず最新年度の要項で確認してください。

要項と中学校で確認すること

  • 都道府県の最新年度の入学者選抜の要項で、欠席が多い場合の扱いと、自己申告書などの有無・条件・提出期限
  • 志望校の募集要項で、選抜に使う資料(調査書・学力検査・面接・作文など)
  • 中学校に、調査書に何が記載されるか、学校外での学習を記載できるか
  • 私立高校は、各校の募集要項や個別相談で、欠席や不登校経験の扱い
  • 中学校の進路担当の先生に、書類の準備をいつまでに始めればよいか

本人に合う進路を選ぶ5つのポイント

候補の学校を比べるときは、次の5つを確かめましょう。学校説明会や個別相談で、それぞれについて聞いてみると比べやすくなります。

  1. 1. 通学の頻度・時間

    登校する日数や時間帯を確かめ、本人に無理のない通い方かを考えます。

  2. 2. 学習の進め方・サポート

    中学校の内容を学び直す機会や、わからないときに質問・相談できる環境があるかを確かめます。

  3. 3. 本人が望む環境

    学校の雰囲気や過ごし方、興味のある分野が、本人の希望と合っているかを見ます。

  4. 4. 学費・卒業までの条件

    入学金や教材費を含めた費用と、卒業までの年数や必要な条件(高校は74単位以上の修得)を確かめます。

  5. 5. 入学後の相談体制

    登校や学習が難しくなったときに、相談できる相手や支援があるかを確かめます。

進路をまだ決められないときは?

次のようなときは、進路を決めることを急がなくて大丈夫です。まずは今の状況に合わせて、できることをしておきましょう。

  1. 進路の話題を負担に感じている

    進路や受験の話をすると、本人がつらそうなとき。

    → 進路の話はいったん休む。

  2. 本人の希望がまだわからない

    どんな学校に行きたいか、本人もまだ言葉にできないとき。

    → 選択肢を決めつけず、ふだんの会話の中で、好きなことや苦手なことを聞いておく。

  3. 体調や生活リズムが安定していない

    朝起きることや、外出することが難しい日が多いとき。

    → 体調を優先する。必要に応じて、学校や医療機関に相談する。

  4. 選択肢が多く、保護者も判断できない

    情報が多すぎて、何から考えればよいかわからないとき。

    → 下の「保護者だけで進められること」から、一つずつ始める。

保護者
このまま決まらなかったら、どうしよう…。
ゆう
決めるのは、本人と話せるようになってからで大丈夫です。その前に、保護者ができる準備があります。

進路を考えるために、今からできること

保護者だけで進められること

本人が進路の話をしづらい時期でも、保護者だけで先に進めておけることがあります。

  1. ステップ1. 中学校の進路担当に相談する

    本人の状況で受けられる選抜、調査書の記載、自己申告書などの準備を始める時期を聞く。
  2. ステップ2. 都道府県の最新情報を確認する

    都道府県教育委員会のホームページで、最新年度の公立高校の入学者選抜の要項を確認する。
  3. ステップ3. 気になる学校の情報を集める

    募集要項で選抜の方法や学費を確認する。個別相談を保護者だけで受けられるかも、学校に問い合わせておく。

本人と話せる時期になったら

本人が進路の話に少し関心を見せ始めたら、集めた情報を一緒に見て、選択肢を比べてみましょう。

  1. ステップ1. 比較表を一緒に見る

    「4つの進路の違い」の表を見ながら、どんな通い方ならできそうかを聞いてみる。
  2. ステップ2. 説明会や個別相談に参加する

    本人の負担にならなければ一緒に。「5つのポイント」を確かめながら、答えをメモしておく。
  3. ステップ3. 本人の希望で候補を絞る

    本人の希望と、通学や学習の負担を確かめながら、2〜3校に絞り込む。

受験に向けて、学習のサポートを考えているときは

1対1で教わる方法を考えているなら、「不登校中の家庭教師、どう選ぶ?」で、選び方と契約前の確認ポイントを整理しています。

家で自分のペースで学ぶ方法を探しているなら、「不登校中の勉強に通信教材を使うには?」で、教材の種類と選び方をまとめています。

よくある質問

不登校でも高校に進学できる?

進学を目指せる道はあります。全日制・定時制・通信制の高校や高等専修学校など、学び方の違う選択肢があります。

ただし、入試の方法や条件は都道府県や学校によって違います。志望する学校の募集要項で確かめてください。

欠席日数が多いと、高校受験は難しくなる?

一概には言えません。出欠の記録を選抜に使わない都道府県もあれば、使う学校もあります。

住んでいる都道府県の実施要項と、志望校の募集要項で、欠席が多い場合の扱いを確認してください。

中学3年生から進路を考えても間に合う?

中学3年生から考え始めることもできます。ただし、自己申告書などの書類には提出の条件や期限があります。

入試の日程や期限は年度ごとに変わるので、早めに中学校の進路担当の先生に確認しておくと安心です。

通信制高校と定時制高校は、どう違う?

登校の仕方が違います。定時制は決まった時間に登校して授業を受けます。通信制は自宅などでの自学自習が中心で、スクーリングや試験の日に登校します。

どちらも修業年限は3年以上で、卒業すると全日制と同じ「高等学校卒業」になります。

まとめ:確かめながら、本人に合う進路を探す

この記事のまとめ

  • 進路の違いは、まず「登校のしかた」と「卒業・修了で得られるもの」で比べる
  • 欠席や調査書の扱いは、公立は都道府県などの要項、私立は各校の募集要項で確かめる
  • 学校を比べるときは、通学の頻度・時間、学習の進め方・サポート、本人が望む環境、学費・卒業までの条件、入学後の相談体制の5つを確かめる
  • 決められないときは急がず、保護者だけで準備を進め、本人と話せる時期に一緒に比べる

まずは、中学校の進路担当の先生に相談するところから始めてみてください。

ゆう
進路は、本人のペースで考えて大丈夫です。一つずつ確かめていきましょう。

出典・参考資料

  1. 文部科学省「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について(通知)(令和8年6月30日)(新しいタブで開きます)」
  2. 文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)(令和7年12月、令和8年2月17日更新版)(新しいタブで開きます)」
  3. 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)(令和元年10月25日)(新しいタブで開きます)」
  4. e-Gov法令検索「学校教育法(第4条・第53条・第54条・第56条・第124条・第125条)(新しいタブで開きます)」
  5. e-Gov法令検索「学校教育法施行規則(第96条)(新しいタブで開きます)」
  6. 文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上方策について(審議のまとめ)(平成29年)(新しいタブで開きます)」
  7. 文部科学省「通信制高校とは?(通信制高等学校情報発信サイト)(新しいタブで開きます)」
  8. 文部科学省「よくある質問(通信制高等学校情報発信サイト)(新しいタブで開きます)」
  9. 文部科学省「高等専修学校とは(新しいタブで開きます)」
  10. 文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A(新しいタブで開きます)」
  11. 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)(新しいタブで開きます)」
  12. 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験Q&A「高等学校卒業程度認定試験とは」(新しいタブで開きます)」
  13. 文部科学省「大学入学資格について(新しいタブで開きます)」

いずれも 2026年10月16日 に内容を確認しました。