

学校を休む日が続くと、何気ない一言にも気をつかうようになります。励ましたつもりが逆効果だったのでは、と悩むこともあると思います。
この記事では、毎日の生活の中で迷いやすい場面ごとに、声かけの一例と、関わるときに意識したいことを整理します。
この記事の結論
どの子にも効く「正解の言葉」はありません。無理に促すことも、関わりを断つことも避けて、安心して過ごせる小さな接点を保つことが基本です。
言葉そのものより、今の本人の様子に合わせることを大切にしましょう。
声をかける前に、何を考えればいい?
文部科学省も、不登校の子どもへの関わり方について、一律の正解を示しているわけではありません。
公的な考え方「する」「しない」を画一的に決めない
文部科学省の「不登校への対応について」は、登校への働きかけを画一的に「する」「しない」と決めるべきではないとしています。状況に配慮しない強引な促しで、子どもや保護者を追い詰めてはならない一方で、過去の報告の受け止め方によっては、必要な関わりまで控えてしまう場合があったと指摘されていることにも触れています。
大切なのは、子どもの状態や背景を把握したうえで、その時々の状況に応じて対応することだとしています。
声をかける前に、次のような点を振り返ってみると、言葉を選びやすくなります。
声をかける前の振り返り(一例)
- 今は話しかけてもよさそうな時間・様子か(起きてすぐ、疲れている時間などではないか)
- この声かけで、自分は何を伝えたいのか(安心してほしいのか、何かを決めてほしいのか)
- 一度の会話で、答えや約束を出させようとしていないか
- 自分自身が焦っていて、早く安心したい気持ちが強くなっていないか
場面別:どんな声かけができる?
よくある場面ごとに、声かけの一例をまとめました。言葉はそのまま使うためではなく、考え方の参考にしてください。
1. 朝、なかなか起きてこないとき
- 声かけの一例
- 「おはよう。朝ごはん、置いておくね」
- 意識したいこと
- 学校に行くかどうかを毎朝たずねるより、ふだんのあいさつにとどめる方法もあります。学校への連絡のしかたなどは、朝ではなく、落ち着いて話せる時間に本人と決めておくと、朝のやりとりが減ることがあります。
2. 学校の話題を避けるとき
- 声かけの一例
- 「話したくなったら、いつでも聞くよ」
- 意識したいこと
- 理由を無理に聞き出そうとしないことが大切です。会話の話題は、食事や好きなことなど、学校以外のことでもかまいません。
3. 不安や不満を話してくれたとき
- 声かけの一例
- 「そう思っていたんだね」「話してくれてありがとう」
- 意識したいこと
- 途中で否定や助言をはさまず、まず最後まで聞きます。解決策は、本人が「どうしたらいい?」と求めたときに一緒に考えるくらいで十分な場合もあります。
4. 「放っておいて」と言われたとき
- 声かけの一例
- 「分かった。何かあったら声をかけてね」
- 意識したいこと
- 一人の時間を尊重しつつ、食事の声かけやあいさつなど、小さな接点は残しておきます。
5. 励ましたい・助言したいと感じたとき
- 声かけの一例
- 「〇〇してみたら?」の前に「どうしたい?」
- 意識したいこと
- 励ましや助言が、本人には「早く何とかしなさい」と聞こえることもあります。提案するなら、断ってもよい形で伝えます。
同じ言葉でも、受け取り方は子どもによって違います
勉強についての声かけに迷うときは「不登校の子どもが勉強しないとき、親はどうする?」、学習の進め方は「不登校で勉強の遅れが心配なとき、家庭でできること」で整理しています。


避けたい関わり方は?
関わり方によっては、本人が責められていると感じたり、話しにくくなったりすることがあります。理由と、代わりにできることの一例です。
登校や理由を、くり返し問いただす
毎日のように聞かれると、追い詰められたように感じることがあります。
代わりに:話す時間を決めて短くする、話題を学校以外にする。
ほかの子やきょうだいと比べる
比べられると、自分は足りないと感じやすくなります。
代わりに:本人が昨日より少しできたことに目を向ける。
気持ちをすぐ否定したり、励ましたりする
「気にしすぎ」「がんばれば大丈夫」などと返すと、分かってもらえないと感じることがあります。
代わりに:まず「そう感じているんだね」と受け止める。
関わりをやめてしまう
そっとしておくことと、まったく関わらないことは違います。必要な関わりまで控えてしまわないようにします。
代わりに:あいさつや食事の声かけなど、負担の少ない接点を残す。
「この言葉を言ったら終わり」というものではありません。うまくいかなかったと感じたら、伝え直したり、関わり方を変えたりできます。
話してくれないとき、どうつながりを保つ?
会話が少ない時期でも、言葉以外のやりとりでつながりを保つことはできます。返事を求めすぎず、続けやすいものを選んでみてください。
負担の少ない接点(一例)
- 「おはよう」「おやすみ」など、返事がなくてもよいあいさつ
- メモやメッセージで、ごはんや予定を短く伝える
- 料理、散歩、買い物など、一緒にできることに誘ってみる
- テレビや動画を同じ部屋で見るなど、話さなくてもそばで過ごす時間をつくる
誘いを断られても、それで関係が悪くなったとは限りません。少し時間をおいて、また声をかけてみてください。
親自身が不安や疲れを感じたら?
子どもを心配するほど、保護者の心にも負担がかかります。焦りや不安を感じるのは自然なことです。
文部科学省の令和元年の通知も、保護者の状況に応じた働きかけや、保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要だとしています。保護者が誰かに相談することは、特別なことではありません。
気持ちを話せる相手をつくる
家族や友人、学校の先生、相談窓口など、自分の気持ちを話せる相手がいると、一人で抱え込みにくくなります。
自分の時間も少し持つ
子どものことを考えない時間を少しつくることも、落ち着いて関わるための助けになります。
迷ったときは、どこに相談できる?
声かけや関わり方に迷うときは、まず担任の先生など、在籍している学校に話してみるのも一つの方法です。地域の相談先は、文部科学省の「不登校に関する地元の相談窓口」で、都道府県ごとに確認できます。相談先の種類は「不登校の子どもが勉強しないとき」の相談先にもまとめています。
命や安全が心配なときは
よくある質問
毎日たくさん話しかけたほうがいい?
回数が多いほどよい、というものではありません。話しかけられるのが負担な時期もあれば、ちょっとした会話にほっとする時期もあります。
あいさつだけの日があってもかまいません。本人の表情や反応を見ながら、量を調整してみてください。
きつい言い方をしてしまいました。
言ってしまったあとでも、伝え直すことはできます。落ち着いてから「さっきは言い過ぎた、ごめんね」と伝える方法があります。
保護者も不安や疲れを抱えていて、いつも落ち着いて話せるわけではありません。自分を責めすぎないことも大切です。
家族の中で、声かけの考え方が違います。
まずは家族どうしで、今の本人の様子と、関わり方の方針を話し合ってみてください。全員が同じ言葉を使う必要はありませんが、方針が大きく違うと、本人が戸惑うこともあります。
家族だけで話がまとまらないときは、学校や相談窓口に一緒に相談する方法もあります。
まとめ:完璧な声かけを目指さなくていい
毎回うまく声をかけられなくても大丈夫です。無理に促さず、関わりも断たず、小さな接点を続けていくことが、話しやすい関係につながっていきます。
次にすること
ステップ1. 続けやすい接点を一つ選ぶ
あいさつ、ごはんの声かけなど、返事がなくても続けられるものから始める。ステップ2. 話してくれたら、最後まで聞く
途中で否定や助言をはさまず、「話してくれてありがとう」と受け止める。ステップ3. 自分の気持ちも、誰かに話す
家族や学校、相談窓口など、保護者自身が話せる場所を持っておく。

出典・参考資料
- 文部科学省「不登校への対応について(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)(令和元年10月25日)(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「24時間に相談できる窓口(新しいタブで開きます)」
- 厚生労働省「まもろうよ こころ(新しいタブで開きます)」
いずれも 2026年10月17日 に内容を確認しました。

