

学校を休んでいる子どもが勉強しないと、遅れが広がるのではと心配になります。かといって、強く言えば関係がこじれそうで、どう声をかければいいか迷う方も多いと思います。
この記事の結論
勉強しない理由は、子どもによって違います。無理に促す前に、本人の体調・気持ち・勉強の話ができる状態かを見て、今に合う対応を選びましょう。
勉強の話をいったん休むことは、学ぶ機会をなくすことと同じではありません。本人の状態に合わせて、再開の時期や方法を考えることができます。
勉強しない理由は、一つとは限らない
「やる気がない」と見えても、その背景はさまざまです。たとえば、次のようなことが重なっている場合があります。
- 心や体が疲れていて、勉強に向かう余裕がない
- わからないところが積み重なり、どこから手をつければいいかわからない
- 勉強をすると、学校のことを思い出してつらくなる
- 生活のリズムが崩れていて、決まった時間に机に向かいにくい
これはあくまで一例で、当てはまらないこともあります。理由を無理に聞き出そうとするより、今の様子を落ち着いて見ることから始めてみてください。
公的な考え方文部科学省の通知(令和元年)
子どもによっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直すなどの積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択での不利益などのリスクにも留意するよう示しています(文部科学省の通知)。
休むことと学ぶことの、どちらか一方だけが正解というわけではありません。
無理に促す前に確認したいこと
勉強の話をする前に、次のような点を見てみましょう。今の対応を選ぶときの材料になります。
本人の様子を見るときのチェック
- 眠る、食べるなど、体調は安定しているか
- 表情や会話に、少し余裕が出てきているか
- 勉強の話題を出したとき、強く嫌がったり、黙り込んだりしないか
- 勉強以外のこと(趣味や好きなこと)には、気持ちが向いているか
いくつ当てはまるかで決まるものではありません。迷うときは、数日〜しばらくのあいだ様子を書き留めておくと、変化に気づきやすくなります。
保護者の不安と、本人の状態を分けて考える
「遅れを取り戻さないと」という焦りは、保護者の不安から生まれていることもあります。その不安自体は自然なものです。ただ、本人が今どんな状態かとは、別のこととして考えると、対応を選びやすくなります。
本人の様子から判断がつかないときは、担任の先生やスクールカウンセラーなどに、家での様子を伝えて相談してみるのも一つの方法です。
家庭でできる3つの対応
家庭でできる対応は、本人の状態によって変わります。どれか一つを選ぶというより、今の様子に近いものから試してみてください。
1. 勉強の話をいったん休む
勉強の話題を出すとつらそうなときは、声かけを減らし、家で安心して過ごせることを優先します。
休むと決めたら、「いつまで」と期限を急いで決めなくても大丈夫です。
2. 本人が関心を持っていることを知る
勉強以外の話ならできるときは、好きな動画やゲーム、趣味の話を、否定せずに聞いてみます。何に興味があるかを知ることが、学び方を考える手がかりになります。
すぐに勉強へつなげようと、話を誘導しすぎないようにしましょう。
3. 取り組めそうなことを、小さく試す
少し退屈そうにしている、何かしたそうにしているときは、料理や買い物での計算、興味のある分野の本など、生活の中でできることから試してみます。
本人が嫌がったら、そこでやめて大丈夫です。続かなくても責めないようにしましょう。


勉強を再開するときは、何から始める?
本人が「少しやってみようかな」と話したときなどは、次の順番で、無理のない始め方を本人と一緒に決めてみましょう。
ステップ1. 教科を選ぶ
好きな教科や、得意だった教科など、本人が手をつけやすいものから選ぶ。ステップ2. 量と時間を決める
最初は短い時間にして、終わりの時間を先に決めておく。ステップ3. 内容を選ぶ
今の学年にこだわらず、わかるところまで戻って始める。ステップ4. 続け方を決める
毎日でなくてもよいことにして、休む日もあらかじめ決めておく。
最初から教材を買わなくても大丈夫です
中学生で、高校受験や中学卒業後の進路も気になっている場合は、「不登校の中学生の進路」で、進路の選択肢と受験での確認ポイントを整理しています。
家庭だけで対応するのが難しいときは?
保護者だけで抱え込まなくて大丈夫です。たとえば、次のような相談先があります。
在籍している学校
まずは在籍している学校と連絡を取ることが大切です。担任の先生やスクールカウンセラーなどに、家での様子や学習のことを相談できます。
教育委員会の相談窓口
教育委員会は、教育センターや教育相談所などに、教育相談の窓口を設けています。
教育支援センター(適応指導教室)
不登校の支援のために教育委員会が設けている施設です。不登校に関する相談のほか、通う子どもへのカウンセリングや教科指導、体験活動などを行っています。
児童相談所・保健所など
児童相談所や保健所、精神保健福祉センターなどでも、相談を受け付けています。
相談先は、文部科学省の「不登校への対応について」に整理されています。相談窓口の名称などは地域によって異なるため、詳しくは住んでいる都道府県や市区町村に問い合わせてください。
学習のサポートを検討する場合
家での学習を支える方法として、通信教材や家庭教師を利用する家庭もあります。ただし、利用しない選択も同じように大切です。本人が望んでいるか、今の状態に合っているかを先に確かめましょう。
利用を考えるときに確認したいこと
- 本人が利用を望んでいるか
- 紙・タブレット・対面など、本人が取り組みやすい形か
- 費用の総額と、やめるときの条件
自分のペースで学ぶ方法を探しているなら「不登校中の勉強に通信教材を使うには?」、先生と1対1で教わる方法を考えているなら「不登校中の家庭教師、どう選ぶ?」で、選び方を詳しくまとめています。
子ども本人が悩みを抱えているときは
よくある質問
不登校で、勉強しないままでも大丈夫?
一概には言えません。心や体を休める時期が必要な場合もあれば、少しずつ学ぶことが安心につながる場合もあります。
休む時期と学ぶ時期は、はっきり分かれるものではありません。勉強の話を休んでいるあいだも、本人の様子を見ながら、再開の時期や方法をあとから考えることができます。
親から「勉強しなさい」と声をかけてもいい?
声をかけること自体がいけないわけではありません。ただ、本人がつらそうな時期は、勉強の話を控えたほうがよい場合もあります。
声をかけるなら、責める言い方ではなく、「少しやってみる?」のように本人が選べる形にすると、断りやすく、話しやすくなります。
勉強は、いつから再開すればいい?
決まった時期はありません。生活のリズムが落ち着いてきた、何かしたそうにしている、といった本人の様子が、話し合うきっかけになります。
受験など期限のある目標がある場合は、在籍している学校の先生とも相談しながら考えてみてください。
まとめ:本人の今に合わせて、次の一歩を選ぶ
勉強しない時期の対応に、どの家庭にも合う一つの正解はありません。本人の今の状態に合わせて、できることから選ぶことが大切です。
次にすること
ステップ1. 様子を書き留める
数日のあいだ、本人の体調・表情・勉強の話への反応を見て、メモしておく。ステップ2. 今に合う対応を選ぶ
つらそうなら勉強の話を休み、話せるなら好きなことを聞いてみる。ステップ3. 小さく始める
本人が「やってみようかな」と言ったら、教科・量・時間を一緒に小さく決める。ステップ4. 迷ったら相談する
判断に迷うときや心配が続くときは、学校や教育支援センターなどに相談する。

出典・参考資料
- 文部科学省「不登校への対応について(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)(令和元年10月25日)(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「24時間に相談できる窓口(新しいタブで開きます)」
いずれも 2026年10月17日 に内容を確認しました。



