保護者
休んでいるあいだに、授業がどんどん進んでいて…。どこから手をつければいいの?
ゆう
まずは、今どこまで分かっているかを確かめるところから始めてみましょう。

学校を休んでいる期間が長くなると、勉強の遅れが気になってきます。ただ、いざ始めようとしても、どの教科の、どこから手をつければいいのかは分かりにくいものです。

この記事の結論

遅れの大きさは、子どもによって違います。今どこまで分かっているかを確かめ、分かるところから、続けられる量で始めるのが基本です。

最初の一歩は、教科書の目次を本人と一緒に見て、分かるところを確かめることです。家での学習のようすを在籍している学校と共有しておくと、学校での評価や、今後の進め方の相談にもつながります。

この記事は、本人が「少し勉強してみようかな」と思えているときを想定しています。まだ勉強の話をするのがつらそうなときは、先に「不登校の子どもが勉強しないとき、親はどうする?」を参考にしてください。

勉強の遅れは、一人ひとり違う

休んでいた期間が同じでも、どこまで理解しているかは子どもによって違います。家で自分なりに進めていた教科がある子もいれば、休む前からつまずいていた単元がある子もいます。

そのため、「何か月休んだから、これだけ遅れている」とは一概に言えません。期間ではなく、今分かっている範囲を見ることが出発点になります。

一律の目安はありません

「何日で取り戻せる」「毎日何時間やればよい」といった、どの子にも当てはまる目安はありません。本人の体調や負担に合わせて、進め方を考えていきましょう。

家庭でできること①:今の学習状況を確かめる

いきなり問題集を解かせるより、まずは本人と一緒に「どこまで分かっているか」を確かめます。

学習状況を確かめる方法(一例)

  • 教科書の目次を一緒に見て、「分かる」「自信がない」「習っていない」に分けてみる
  • 学校から届いたプリントや、休む前のテスト・ノートがあれば、どこでつまずいているかを見る
  • 担任の先生に、授業がどこまで進んでいるかを聞く
  • 本人に、好きな教科・得意だった教科を聞いておく

テストのように確かめると、本人の負担になることもあります。嫌がるときは無理をせず、分かる範囲で大丈夫です。

教科書は、教育課程の構成に沿って順序立てて組み立てられた、教科の主たる教材です(文部科学省)。目次を見ると、その学年で学ぶ内容の流れがつかみやすくなります。

なお、義務教育の教科書は、国・公・私立の学校の全児童生徒に、使用する全教科の分が無償で給与されています(文部科学省)。手元に見当たらないときは、学校に問い合わせてみてください。

家庭でできること②:どこから学び直すか決める

学習状況が見えてきたら、始める場所を決めます。今の学年の内容にこだわらず、分かるところまで戻ってかまいません。考え方の一例は次のとおりです。

  1. 1. 前の内容を使って進む教科は、つまずいた単元まで戻る

    算数・数学や英語のように、前に習ったことを使って進む単元が多い教科は、つまずいたところまで戻ると、その先が理解しやすくなる場合があります。

    前の学年の内容から始めることは、遠回りではありません。

  2. 2. 単元ごとに区切りやすい内容は、気になる単元から

    単元ごとのまとまりで学びやすい内容は、本人が興味を持てる単元や、学校で今習っている単元から始める方法もあります。

    どの教科がどちらに当てはまるかは、単元や本人の理解によって変わります。

  3. 3. 迷ったら、本人が「分かる」と思えるところから

    どこから始めるか迷うときは、本人が自信を持って取り組めるところを選びます。「できた」と感じられることが、続けるきっかけになります。

どの教科から始めるかも、本人と相談して決めましょう。全教科を同時に始める必要はありません。

家庭でできること③:続けやすい学習の形を整える

計画は、「毎日何時間」と決めるより、②で決めた始める場所から、無理なく続けられる形にすることを大切にします。次の順番で、本人と一緒に組み立ててみてください。

  1. ステップ1. 進む範囲を小さく区切る

    教科書の目次などを使い、始める単元から先を「次はここまで」と小さなまとまりに分ける。
  2. ステップ2. 1週間の目安を決める

    その週に取り組む範囲を、本人と相談して決める(例:「今週は分数のたし算まで」)。
  3. ステップ3. やったことを記録する

    取り組んだ範囲や、分かった・難しかったところを、本人が見て分かる形で残す。学校と共有するときの材料にもなる。
  4. ステップ4. 週ごとに一緒に見直す

    目安が多すぎなかったか、つまずいたところはないかを本人と話し、次の週の範囲を調整する。

机に向かう場所や時間帯も、本人が取り組みやすいところを選びます。リビングの一角など、家族の近くのほうが始めやすい子もいれば、一人で集中したい子もいます。

保護者
少しずつで、本当に追いつけるのか不安です。
ゆう
追いつくまでの道のりは、子どもによって違います。まずは続けられる形を見つけることを大切にしましょう。

家庭でできること④:教材や学習方法を選ぶ

教材は、最初から新しく買いそろえなくてもかまいません。手元にあるものから始めて、必要に応じて広げていく方法があります。

  1. 教科書・学校のプリント

    手元にあるものからすぐに始められます。学校の授業の進み方とも合わせやすい教材です。

    学校で今どこを学んでいるかは、担任の先生に聞いてみましょう。

  2. 市販の問題集・ドリル

    書店で中身を見て選べます。解説が詳しいもの、1回分の量が少ないものなど、本人が取り組みやすいかを見て選びます。

  3. 通信教材

    自分のペースで進めやすい方法です。種類と選び方は「不登校中の勉強に通信教材を使うには?」にまとめています。

  4. 家庭教師

    1対1で、つまずいたところから教わりやすい方法です。選び方は「不登校中の家庭教師、どう選ぶ?」にまとめています。

どの方法にするかは、本人が取り組みやすいかどうかを一番の判断材料にしてください。学習サービスを使わずに、家にある教材だけで進める選択もあります。

学校や外部の支援を活用する

家での学習のようすは、在籍している学校と共有しておくのがおすすめです。文部科学省の令和元年の通知は、保護者が学習の遅れに不安を感じて、進級時の補充指導などを要望した場合、学校は柔軟に対応する必要があるとしています。遅れが心配なことは、遠慮せず学校に伝えてかまいません。

知っておきたい制度欠席中の学習が、成績評価で考慮される場合がある

小・中学校など義務教育段階の不登校の子どもが、自宅などで行った学習の成果は、国が定める要件のもとで、学校の判断により成績評価で考慮できるとされています(文部科学省・令和6年8月の通知)。要件は次の3つです。

  • 学習の計画や内容が、在籍校の教育課程に照らして適切と認められること
  • 学校と保護者などの間に十分な連携協力体制があり、学校が学習の状況を定期的・継続的に把握していること
  • 学校が、訪問やオンラインなどで、本人と直接の関わりを続けていること

不登校にあたるかどうかは、学校などが判断します。また、下の学年の内容を学んでいる教科などでは、観点別の評価や評定が記載されない場合もあります。その場合も、学習のようすを文章で記録するなどの対応が求められています。

家で学習すれば必ず成績に反映される、というものではありません。扱いは在籍校に確認してください。

自宅でICTなどを使って学習した場合の「出席扱い」については、「不登校中の家庭教師、どう選ぶ?」で要件を紹介しています。

学校に聞いてみたいこと(一例)

  • 授業がどこまで進んでいるか。家で取り組める課題やプリントはあるか
  • 家での学習の記録を、どのように共有すればよいか
  • 欠席中の学習を、成績評価でどのように扱っているか
  • 補充の指導や、学校の中で学べる場所があるか

学校の外にも、学習を支える公的な場があります。名称や内容は地域によって異なるため、住んでいる地域の情報を確かめてください。

  1. 教育支援センター(適応指導教室)

    教育委員会が設けている施設で、通う子どもへの教科指導も行っています。相談やカウンセリング、体験活動なども行っています。

  2. 校内教育支援センター

    学校の中に設ける教育支援センターで、国が設置を進めています。教師や学習指導員による学習支援などが考えられています。設置の有無や内容は、学校によって異なります。

中学生で、高校受験に向けた準備も気になる場合は、「不登校の中学生の進路」で、受験での確認ポイントを整理しています。

家庭だけで抱え込まないための相談先

学習の進め方に迷ったときは、まず在籍している学校に相談してみてください。学校以外の相談先の種類は、「不登校の子どもが勉強しないとき」の相談先にまとめています。

地域の相談窓口を探すときは

文部科学省の「不登校に関する地元の相談窓口」で、各教育委員会がまとめた地域の相談窓口を、都道府県ごとに確認できます。

本人の体調や心の状態が心配なときは、学習のことより先に、学校や医療機関などに相談することも大切です。

よくある質問

1年分以上の遅れでも、取り戻せる?

どのくらいで追いつけるかに、決まった目安はありません。休んでいた期間が同じでも、理解している範囲は子どもによって違います。

全部を一度に取り戻そうとするより、まずは分かるところを確かめて、少しずつ範囲を広げていくことを考えてみてください。中学生で高校受験も気になる場合は、「不登校の中学生の進路」もあわせて参考にしてください。

親が勉強を教えたほうがいい?

親が先生役をしなければいけない、ということはありません。教えられるところだけ手伝う、計画や記録を一緒に見る、といった関わり方もあります。

教えることが親子の負担になっているときは、学校や教育支援センター、通信教材や家庭教師など、ほかの手段を検討するのも一つの方法です。

勉強の話をすると、子どもが嫌がります。

無理に学習の計画を進めなくて大丈夫です。この記事の内容は、本人が「少しやってみようかな」と思えているときを想定しています。

勉強の話がつらそうなときの関わり方は、「不登校の子どもが勉強しないとき、親はどうする?」で整理しています。

まとめ:できることから、少しずつ進める

勉強の遅れは、一度に取り戻すものではありません。今分かっているところを確かめ、続けられる量から始めることが、次の一歩になります。

次にすること

  1. ステップ1. 教科書の目次を一緒に見る

    「分かる」「自信がない」を本人と確かめ、始める教科と単元を決める。
  2. ステップ2. 1週間の範囲を決めて記録する

    その週に進む範囲を本人と決め、取り組んだことを記録する。
  3. ステップ3. 学校に相談する

    授業の進み具合や、家での学習の共有のしかた、成績評価での扱いを聞いてみる。
ゆう
焦らなくて大丈夫です。本人のペースで、できることから一緒に考えていきましょう。

出典・参考資料