

学校を休むようになってから、ゲームやスマホを手放さなくなった。注意すれば怒鳴り返され、こちらもつい声が大きくなる。黙っていれば「このままでいいのか」と自分を責める。そんな毎日に、疲れ切っているかもしれません。
基本の考え方は一つです。課金や危険な接触、暴力があるときは親が先に動いて外に相談し、そうでなければ取り上げずに、使い方を1つずつ決め直します。
この記事では、自分の家がどちらに当たるかを決める3段階の目安、いくつも重なったときの優先順位、課金・危険な接触・怒る・夜更かし・ルールが守れないなど状況別の対応と相談先、子どもが話し合いに応じないときの進め方を整理しました。保護者アンケートや体験談で確認できた声と、公的機関の情報をもとにしています。
ゲーム・スマホの時間が増えたとき、親が迷うこと
不登校オンラインが行った保護者アンケートには、迷いがそのまま表れた声が並んでいます(アンケート①・アンケート②)。
アンケートに寄せられた保護者の声(抜粋)
- 「長時間のスマホをやめさせたいけど、心の拠りどころになっていたらと思うと強く言えない」
- 「子どもが好きなゲームを知ろうとしても、難しすぎて親はついていけない。コミュニケーション取ろうにも話をしてくれない」
- 「課金をせがまれました」
- 「オンラインゲームをしているから繋がる人間関係もあります」
やめさせたい気持ちと、取り上げたら支えを奪うのではという気持ち。その両方を抱えたまま、毎日同じ場面を繰り返す苦しさが伝わってきます。
埼玉県教育委員会が公開しているある保護者の体験談にも、「毎日テレビを見て、ゲームをしている子供を受け入れる事は、とても大変なことでした」とあります。受け入れられない日があるのは、親として自然なことです。
ゲームは不登校の原因?それとも今の過ごし方?
「スマホを渡してからずっと朝から寝るまで離さない。それから不登校に」と書いた保護者もいます(アンケート②)。順番だけを見れば、ゲームやスマホが原因に見えるのも無理はありません。
支援の現場の見方ゲームやスマホは「結果」であることも少なくない
埼玉県の不登校を経験した本人の体験談には、将来や学校のことを考えるほど不安になり、体調も悪くなるので、「できるだけ現実逃避できることをして、気をまぎらわしていた」とあります。この人は起立性調節障害にかかり、1日中寝ているか、ゲームをして過ごしていたそうです。
ただし、「結果だから放っておいてよい」ということにはなりません。日本小児心身医学会のページは、診断基準に当てはまるかどうかより、ゲームやネットへの過度の没頭で現実の生活に支障があるなら、依存と考えて対応したほうがいいとしています(日本小児心身医学会)。次の章では、この「生活への支障」を、家庭で観察できる様子に置き換えて整理します。
取り上げる?取り上げない?3段階の判断の目安
日本小児心身医学会の「現実の生活に支障があるか」という考え方をもとに、編集部が3段階の目安にまとめました。上の段階から順に見て、一つでも当てはまる最も上の段階を選んでください。
1. すぐに安全を確保する
- こんな様子が一つでもあれば
- 親のカードやキャリア決済、家のお金が、無断でゲームに使われた(使われた形跡がある)
- ゲームやSNSで知り合った相手から、写真を求められた、会おうと誘われた、住所や学校名を聞かれた
- 物を投げる・壊す、家族を押す・たたくなど、怒りが物や人の体に向かった
- 「死にたい」「消えたい」と口にする
- 親の動き方
- その日のうちに動きます。ゲームの時間の話は後回しにして、決済の設定を変える、機器をいったん預かるなど、親が先に決めてかまいません。そのうえで、家庭の中だけで抱えずに外の窓口に相談します(「高額課金・無断課金が心配」・「オンラインで知り合った相手とのやりとりが心配」・「止めると怒り、話し合いにならない」)。命に関わる言葉があるときにすぐ相談できる窓口は、「家庭だけで抱えきれないときの相談先」の最後にまとめています。
- 記録の使い方
- 記録がそろうのを待たない。一度でも当てはまれば、この段階として扱います。
2. 取り上げずに、使い方を決め直す
- こんな様子が一つでもあれば
- 寝る時刻がどんどん遅くなり、記録した日の半分以上で、起きるのが昼過ぎになっている
- ゲームのために食事を抜く、食卓に来ない日が続いている
- 頭痛やだるさ、食欲がないなど、本人が体の不調を訴えている
- 止めるように言うと暴言や大声の言い合いになるが、物や人の体には向かっていない
- 親の動き方
- 取り上げずに、まずルールを1つだけ決め直します(安全上の問題がなければ「終える時刻」)。詳しくは「夜更かしが続き、睡眠や体調に響いている」・「止めると怒り、話し合いにならない」へ。
- 記録の使い方
- 2週間ほど、寝た・起きた時刻と、言い合いになった場面をメモし、その記録で判断します。
3. 今は制限より、関わりを増やす
- こんな様子が一つでもあれば
- 寝る・起きる時刻は遅くても、記録した2週間でおおむね一定している
- 食事はとれていて、体の不調の訴えは続いていない
- 声をかければ返事がある。ゲームの話ならしてくれる
- ゲームが、友だちとつながる場にもなっている
- 親の動き方
- 時間を減らすことを急ぎません。「ゲーム以外の時間を、無理なく増やすには」を参考に、ゲーム以外の時間を少しずつ増やします。
- 記録の使い方
- 同じように2週間メモし、様子が変わったら段階を見直します。
暴言と、物や体に向かう暴力は分けて考える
暴言や大声の言い合いだけなら「取り上げずに、使い方を決め直す」段階です。物を投げる・壊すことや、人の体に向かう暴力があれば、「すぐに安全を確保する」段階に移ります。
危険を感じたら、ゲームのルールより安全が先です。その場を離れる、きょうだいを別の部屋に移すなどして、親だけで止めようとしなくてかまいません。警察相談専用電話#9110に相談でき、身の危険があるときは110番に連絡します。
安全の問題がないときに取り上げないのは、東京都のコラムが、ゲームやスマホを急に制限すると、子どもは安心できる場所を失い、不安や反発が強まることがあると指摘しているためです(東京都のコラム)。取り上げてしまうと、ルールを話し合う相手としての関係も細くなりがちです。


いくつも重なっているときは、どこから手をつける?
夜更かしも、怒るのも、課金も、と重なっている家庭もあると思います。全部を一度に変えようとすると、親も子も続きません。編集部がおすすめする順番は次のとおりです。
ステップ1. お金と、危険な接触
取り返しがつきにくく、家庭の外の人が関わる問題だからです。→ 「高額課金・無断課金が心配」・「オンラインで知り合った相手とのやりとりが心配」ステップ2. 体の安全
物や人の体に向かう暴力があれば、ほかのことより先に安全を確保します。→ 「止めると怒り、話し合いにならない」ステップ3. 睡眠と体調
眠れていないと、怒りやすさも、話し合う余裕も変わります。→ 「夜更かしが続き、睡眠や体調に響いている」ステップ4. 使い方のルール
上の3つが落ち着いてから、時間のルールを1つ決めます。→ 「ルールを決めても守れない・制限を解除される」・「親子でルールを決めるときの具体例と注意点」
親自身の疲れへの対応は、この順番とは別に、最初から並行して進めます。親が倒れてしまうと、どの段階も続けられません。→ 「注意し続けることに、親が疲れている」
状況別:まず確認すること・対応・相談先
上の優先順位と同じ順に、7つの場面を並べました。それぞれ「まず確認すること」「親の対応」「避けたいこと」「改善しないときの相談先」の順です。出典のある内容は出典を示し、それ以外は編集部の提案として書いています。
高額課金・無断課金が心配
国民生活センターによると、契約当事者が小中高生のオンラインゲームに関する2022年度の相談件数は4,024件で、契約購入金額の平均は約33万円でした。相談事例には、保護者のアカウントにログインしたままのスマホを貸した、以前入力したカード番号が子どものスマホに残っていた、といったものが並んでいます(国民生活センター)。
- まず確認すること
- 決済完了のメールや明細、アプリストアの購入履歴。子どもが使う端末で、保護者のアカウントにログインしたままになっていないか。子どもの端末にカード番号が残っていないか。キャリア決済の上限額。
- 親の対応
国民生活センターは、保護者のアカウントは必ずログオフする、子ども専用のアカウントを作って「ペアレンタルコントロール」で課金を承認制にする、決済時の承認(パスワードや指紋・顔認証)を設定する、子どものスマホに入力したカード情報を削除する、キャリア決済の上限額を必要に応じて低くする、といった対策を挙げています。
同じページによると、未成年者が保護者の同意なく契約した場合は取り消すことができます。ただし、保護者のアカウントでログインしたスマホで課金した場合は、保護者が決済したとみなされる場合もあるとされています。
編集部としては、本人を問い詰める前に、まず設定を止めることをおすすめします。お金の流れが止まれば、話は落ち着いてからでもできます。
- 避けたいこと
- 問い詰めて終わりにすること。明細を確かめないまま、時間がたってしまうこと。
- 改善しないときの相談先
- 消費者ホットライン188。最寄りの消費生活センターなどを案内してくれます。相談は無料で、通話料がかかります(消費者庁)。
オンラインで知り合った相手とのやりとりが心配
京都市教育委員会が保護者向けに出した案内によると、オンラインゲームの中で知り合った者から裸の画像を送らされる事案や、誘い出されて犯罪に巻き込まれる事案が起きています。案内に添えられた警察庁・文部科学省・こども家庭庁の資料は、ゲームの上級者への憧れや「仲間意識」、高価なアイテムの提供などをきっかけに、子どもが信頼してしまう手口を挙げています(啓発資料)。
- まず確認すること
- 相手から、写真を求められた、会おうと誘われた、住所や学校名を聞かれた、アイテムを贈られた、連絡先の交換を求められた、ということがないか。会う約束をすでにしていないか。
- 親の対応
編集部がおすすめする順番は次のとおりです。
- 会う約束があれば、行かせない。日時と場所を聞き、その日は家族が一緒にいるようにする
- 親が相手に直接連絡しない。本人になりすまして返信することもしない
- 画面とメッセージを保存する。相手の名前やID、やりとりをスクリーンショットで残し、消さない
- 警察に相談する。警察相談専用電話#9110。差し迫った危険があるときは110番
話してくれたこと自体は、責めずに受け止めます。啓発資料も、家族で決めておくルールの一つに「少しでも不安を感じたら家族等に相談する」を挙げています。
- 避けたいこと
- 叱って端末を取り上げ、それで終わりにすること。次に何かあったとき、本人が言い出せなくなります。
- 改善しないときの相談先
- #9110は、最寄りの警察本部の相談窓口につながります(啓発資料)。差し迫った危険があるときは110番。
止めると怒り、話し合いにならない
「常識を超えた使用時間を許可している。それでも足りないと暴言、暴れる息子に親として無力感が募ります」という保護者の声があります(不登校オンライン)。日本小児心身医学会のページも、ゲームやネットで現実に問題になるのは、使い続けようとする本人と止めさせようとする保護者の対立であり、親への暴力や家庭内での物の破壊が起こることもあると説明しています(日本小児心身医学会)。
暴言をぶつけられれば、親も腹が立ちます。思わず言い返してしまう日もあるはずです。言い返してしまったら、落ち着いてから「さっきは言い過ぎた」と伝え直せば足ります。伝え直し方は「不登校の子どもにどう声をかける?親ができる関わり方と注意点」のよくある質問にもまとめています。
- まず確認すること
- 怒りが言葉だけか、物を投げる・壊すか、人の体に向かうか(物や体に向かったら「取り上げる?取り上げない?3段階の判断の目安」の「すぐに安全を確保する」に当たります)。どんなときに怒るか(対戦の途中で声をかけたとき、いきなり時間切れを告げたとき など)。
- 親の対応
暴言の段階なら、その場で説得しません。「続きはあとで話そう」と短く伝えて、いったん離れます。話すのは、ゲームをしていない落ち着いた時間にします。「やめなさい」の代わりに「次の区切りはいつ?」と、終わり方を本人に決めてもらうと、途中で取り上げる形を避けられます(いずれも編集部の提案)。
物や体に向かったら、ゲームのルールより安全が先です。その場を離れる、きょうだいを別の部屋に移す、といったことを優先し、親だけで止めようとしなくてかまいません。
- 避けたいこと
- 怒っている最中の説得。その場で条件を後から足すこと。体の大きくなった子を、親が力で押さえようとすること。
- 改善しないときの相談先
- 暴言や言い合いが続いて家の中が張りつめているときは、精神保健福祉センター。厚生労働省によると、ゲーム依存症を含む依存症について、本人だけでなく家族からの相談も受け付けています(厚生労働省)。物や体に向かう暴力は警察相談専用電話#9110、身の危険があるときは110番。
夜更かしが続き、睡眠や体調に響いている
「部屋に引きこもって長時間してしまうため、運動不足や睡眠不足で身体に不調→自律神経の乱れ→イライラしたり鬱っぽくなったりする→ゲームでストレス解消、の悪循環で抜け出せない」という声がアンケートに寄せられています(不登校オンライン)。
- まず確認すること
- 2週間ほど、寝た時刻・起きた時刻をメモする。寝る直前まで何をしているか(対戦やチャットか、動画を見ているだけか)。本人は起きていたいのか、眠りたいのに眠れないのか(聞けそうなら)。
- 親の対応
ルールの1つ目は、使う時間の長さより「終える時刻」にします(編集部の提案)。東京都の不登校支援ポータルのコラムは、ゲームやチャットは寝る2〜3時間前までにする、対戦型や競争性の高いゲームは日中にして夜は落ち着いたものに切り替える、寝る前は動画や音楽などの「受け身」の使い方にする、ベッドから少し離れた場所に置く、といった工夫を挙げています(東京都のコラム)。
同じコラムは、「やめなさい」ではなく「今は体を休める時間にしようか」と声をかけると受け入れやすくなることもある、としています。
- 避けたいこと
- 夜中に部屋に入って取り上げる、何も言わずに電源やWi-Fiを切る。言い合いになり、かえって眠る時刻が遅くなりがちです(編集部の見方)。
- 改善しないときの相談先
- 頭痛や立ちくらみなど体の症状が続くときは、かかりつけの小児科や学校の養護教諭に、メモを見せて相談します。体の症状はないのに、ゲームのために眠らない状態が続くときは、精神保健福祉センターへ。厚生労働省によると、依存症のほか、こころの健康や思春期・青年期の問題についても電話や面接で相談を受けています(厚生労働省)。
ルールを決めても守れない・制限を解除される
「いくら親がスマホに制限をかけても、どうにか制限を解除してしまい、親がついて行けない」という声もあります(不登校オンライン)。埼玉県教育委員会が公開しているある保護者の体験談では、約束を守らないと怒って説教していたのを、医療機関で受けたペアレントトレーニングで学び、「短い言葉で簡潔に伝える努力をした」と振り返られています。
- まず確認すること
- ルールを本人も一緒に決めたか、親が決めて伝えただけか。ルールがいくつあるか(2つ以上なら多すぎる可能性があります)。制限を解除したなら、いつ、何のためだったか。
- 親の対応
制限を解除されたら、まず目的を聞きます。「友だちとの約束に間に合わなかった?」のように、理由の見当をつけて短く聞くと答えやすくなります(編集部の提案)。
- 友だちとの約束や、時間が足りなかったことが理由なら、ルールが合っていないサインです。ルールを1つに絞って決め直します(「ルールを決めるときの手順」)
- 課金や、知らない相手とのやりとりのためだったなら、ルールの話より先に「高額課金・無断課金が心配」・「オンラインで知り合った相手とのやりとりが心配」の対応をします
- 避けたいこと
- 罰として長く取り上げること。設定を強くしては外される、を繰り返すこと。
- 改善しないときの相談先
- 学校のスクールカウンセラーに、家での様子と試したことを伝えて相談します。東京都に住んでいるなら、子どものネット・スマホのトラブル相談窓口「こたエール」も使えます(「家庭だけで抱えきれないときの相談先」)。
ゲームの中の友だちが、大切な居場所になっている
「オンラインゲームをしているから繋がる人間関係もあります」という保護者の声があります(不登校オンライン)。埼玉県の不登校を経験した本人の体験談でも、保護者や先生以外の友人・大人について、「不登校のことを気にせず遊ぼうと誘ってくれたり、ゲームを一緒にやってくれるのがうれしかった」と書かれています。
- まず確認すること
- 誰と遊んでいるか(学校の友だちか、ゲームで知り合った人か)。そのやりとりのあと、本人の表情は明るいか、疲れているか。
- 親の対応
つながりそのものは否定しません。終える時刻を決めるときは、友だちと遊ぶ約束の時間を外さないように本人と相談します(編集部の提案)。
あわせて、安全の約束だけはしておきます。警察庁・文部科学省・こども家庭庁の啓発資料は、家族で決めるルールの例として、個人情報(住所、氏名、学校名など)を送らない、家族に相談せずにゲーム内で知り合った人と連絡先を交換したり実際に会ったりしない、アイテムをもらうときは必ず家族に相談する、を挙げています。
- 避けたいこと
- 「ゲームの友だちなんて本当の友だちじゃない」と言うこと。話してもらえなくなり、困ったときに相談されにくくなります。
- 改善しないときの相談先
- 相手とのやりとりに違和感があるときは、「オンラインで知り合った相手とのやりとりが心配」へ。
注意し続けることに、親が疲れている
「何か言うと親子関係が悪くなるのでなかなか言えません」「心の拠りどころになっていたらと思うと強く言えない」という声があります(不登校オンライン)。言えば険悪になり、言わなければ自分を責める。その往復は、それだけで消耗します。
- まず確認すること
- 1日に何回注意しているか。注意したあと、何か変わっているか。自分自身は眠れているか。
- 親の対応
- 避けたいこと
- 一人で毎晩見張り続けること。疲れ切ってから、一度に強く言ってしまうこと。
- 改善しないときの相談先
- スクールカウンセラーや自治体の教育相談、地域の親の会。ゲームとの付き合い方そのものの相談なら、精神保健福祉センターでも家族だけで相談できます(厚生労働省)。相談先の選び方は「不登校の相談先はどこ?学校・自治体・専門機関の選び方」にまとめています。
親子でルールを決めるときの具体例と注意点
ルールは、最初は1つだけにします。安全上の心配があれば安全の約束を、なければ「終える時刻」を選び、守れる状態が続いてから2つ目を考えます(編集部の提案)。
不登校オンラインのアンケートでは、保護者が実際に家庭で決めているルールが紹介されています(アンケート②)。区切り方で分けると、次の4つです。カードの下の一言は編集部のコメントです。
時刻で区切る
「0時〜6時までの利用停止(ネット遮断)」「寝る1時間前にはやめる」など。
学校のない日は一日が長いため、時間の合計より、終える時刻のほうが守りやすい場合があります。
時間の長さで区切る
「平日は2時間、休日は3時間」など。
途中でやめにくいゲームもあります。区切りのつけ方も一緒に決めておきます。
場面で区切る
「食事中はしない」など。
家族みんなで守るルールにすると、本人だけが我慢する形になりにくくなります。
安全を守る
「アプリインストール時は保護者の承認が必要」「悪口は送らない」「裸などの写真は送らない」など。
安全上の心配があるなら、1つ目のルールはここから選びます。
ルールを決めるときの手順
ステップ1. 話すタイミングを選ぶ
ゲームの最中や、もめた直後は避ける。食事のあとなど、落ち着いている時間に「相談したいことがある」と切り出す。ステップ2. 先に本人の言い分を聞く
どのゲームを、誰と、どんな時間帯にしているのか。親の心配(睡眠、お金、知らない人)は、そのあとに短く伝える。ステップ3. 1つだけ決めて、紙に書く
オンラインの安全の約束については、警察庁などの啓発資料も、家族で決めたルールを書いておくことをすすめています。時間のルールも同じように書いて見えるところに置くと、毎回の言い合いが減らせます(こちらは編集部の提案)。ステップ4. 守れなかった日の扱いも決めておく
啓発資料は、安全のルールを守れなかったときは「改めてルールについて話し合いましょう」としています。時間のルールも、罰ではなく「次の日にもう一度話す」など、決め直しの手順として決めておきます(編集部の提案)。ステップ5. 2週間後に見直す
守れたか、無理がなかったかを一緒に振り返る。守れていれば2つ目を考え、守れていなければ1つ目を決め直す。
話し合いに応じないときは
声をかけても返事がない、話そうとすると部屋にこもる。そんな家庭でも、行き止まりにはしなくて大丈夫です。親が先に決めてよいことと、本人と決めたいことを分けて考えます(編集部の提案)。
親が先に決めて伝えてよいこと
お金と安全に関わることは、話し合えなくても親が決めて、短く伝えます。
- 保護者のアカウントのログオフ、課金の承認制、カード情報の削除
- 知らない相手と連絡先を交換しない、会わない
- 体や物に向かう暴力があったときは、外に相談する
理由は一言で十分です。「お金と安全のことだけは、親が決めるね」など。
本人と決めたいこと(時間のルール)
終える時刻などは押しつけず、1〜2週間あけてから、落ち着いている時間にもう一度持ちかけます。口で話しにくければ、メモやメッセージで「〇時に終えるのはどう?」と一つだけ提案する方法もあります。
待っている間は、「ゲーム以外の時間を、無理なく増やすには」を参考に、ゲーム以外の時間を少しずつ増やします。
機器の設定は、本人と一緒に
ゲーム以外の時間を、無理なく増やすには
日本小児心身医学会のページは、対応の原則を、ゲームやネットを減らす・止めることではなく、ゲームやネット以外の時間を増やすことだとしています。そのために、放課後等デイサービスや適応指導教室、フリースクール、習い事の教室など、学校以外の場を利用することもすすめています(日本小児心身医学会)。
埼玉県のある保護者の体験談では、休ませた当初は嫌がる子どもにいろいろやらせたものの、どれも実を結ばなかったと振り返られています。「子供が自ら学校に行くと言うまで待とう」と思えた頃、今まで何を誘ってもやってくれなかった子どもが、自分から地域のミニバスに入りたいと言い出し、元気に活動するようになったそうです。
これは一つの家庭の経過で、待てば必ず動き出すということではありません。そのうえで編集部としては、誘うときは断られる前提で、情報だけそっと置いておくくらいの軽さをおすすめします。たとえば次のようなことです。
家の中の小さな役割
料理の一品、買い物、ペットの世話など、短く終わって「ありがとう」と言われることから。
ゲームから広がる興味
好きなゲームの音楽や絵、設定、作り方など、本人が話してくれたことの中に、次の関心の入口があることもあります。
一緒に体を動かす時間
散歩やキャッチボールなど、親が一緒にできて、断られても気まずくならないもの。埼玉県の別の保護者の体験談では、家の手伝いや軽い運動(ボール投げ、バドミントン)を一緒にしていたそうです。
家の外の居場所
教育支援センター(適応指導教室)やフリースクール、習い事など。本人が興味を示したときにすぐ渡せるよう、親が先に調べておきます。
避けたいのは、「ゲームを減らすなら行かせてあげる」のように、ゲームを減らす条件として活動を差し出すことです。活動そのものが、ゲームを減らすための手段に見えてしまいます(編集部の見方)。
家庭だけで抱えきれないときの相談先
ゲーム・スマホに関わる困りごとは、内容によって相談先が分かれます。次の4つは全国どこからでも使えます。受付時間や料金は変わることがあるため、連絡する前に各窓口の公式ページで確認してください。
課金・お金のトラブル
- 相談先
- 消費者ホットライン188
- どんな窓口か
- 最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センターなどを案内する、全国共通の番号です。相談は無料で、通話料がかかります(消費者庁)。
オンラインで知り合った相手とのトラブル、家庭内の暴力
- 相談先
- 警察相談専用電話#9110/危険が差し迫っているときは110番
- どんな窓口か
- #9110は、最寄りの警察本部の相談窓口につながります(警察庁などの啓発資料)。
使い方をめぐる激しい対立、ゲームのために眠らない・食べない状態が続く
- 相談先
- 精神保健福祉センター(各都道府県・政令指定都市に1か所ずつ。東京都は3か所)
- どんな窓口か
- 厚生労働省によると、ゲーム依存症を含む依存症について、本人や家族からの相談を受け付けています。こころの健康や、思春期・青年期の問題の相談も、電話や面接で受けています(厚生労働省)。所在地は全国精神保健福祉センター一覧で探せます。
不登校の過ごし方全般、学校との連携
- 相談先
- 在籍している学校(担任・スクールカウンセラー)、教育支援センター、自治体の教育相談窓口
- どんな窓口か
- それぞれの役割と選び方は「不登校の相談先はどこ?学校・自治体・専門機関の選び方」にまとめています。
東京都に住んでいる場合は、東京都の「こたエール」にも相談できます。子どものネット・スマホのトラブルについて、小中高の児童生徒と、保護者や先生からの相談を無料で受けています。電話は0120-1-78302(月〜土曜日 15:00〜21:00、祝日・年末年始を除く)で、メールやLINEでも相談できます。ほかの道府県でも同じような窓口を設けていることがあるため、住んでいる自治体の公式サイトで確認してみてください。
命や安全が心配なときは
子どもが「死にたい」「消えたい」と口にするなど、命や安全が心配なときは、ためらわずに相談してください。
- 子ども本人は、文部科学省が紹介している「24時間子供SOSダイヤル」0120-0-78310(24時間)に相談できます(文部科学省のページ)
- 危険が差し迫っているときは、110番や119番に連絡してください
よくある質問
長い時間ゲームをしていたら、ゲーム依存症ですか?
ゲームの話を聞くのは、ゲームを認めて甘やかすことになりませんか?
話を聞くことと、使い方を何でも認めることは別です。東京都のコラムは、「今のゲームのどんなところが好き?」などと、結果ではなく体験を、評価せずに聞くことを、家庭でできる工夫の一つ目に挙げています(東京都のコラム)。
何に夢中になっているかを知っておくと、ルールを話し合うときの手がかりにもなります。勉強の話へのつなげ方は「不登校の子どもが勉強しないとき、親はどうする?無理に促す前に考えたいこと」で触れています。
まとめ:今日から2週間の進め方
どこから手をつけるか迷ったら、この順番で進めてみてください。
ステップ1. 今日:お金と安全の設定を確かめる
子どもが使う端末で保護者のアカウントがログインしたままになっていないか、カード情報が残っていないか、キャリア決済の上限はいくらか。ステップ2. 今日:「すぐに安全を確保する」に当たる様子がないか見る
当てはまれば、その日のうちに「いくつも重なっているときは、どこから手をつける?」の順に対応し、外の窓口に相談する。ステップ3. 今日から2週間:記録をつける
寝た・起きた時刻と、言い合いになった場面を、一行ずつメモする。ステップ4. 2週間後:段階を見直し、ルールを1つ決める
記録をもとに3段階のどれに当たるかを見直し、必要ならルールを1つだけ決める(「ルールを決めるときの手順」)。ステップ5. 並行して:自分の相談先を一つ決めておく
スクールカウンセラー、親の会、精神保健福祉センターなど、親自身が話せる場所を一つ。

出典・参考資料
- 不登校オンライン「【ゲーム・スマホ特集】子どものゲーム・スマホ使用、何が心配? 保護者アンケートから①(新しいタブで開きます)」
- 不登校オンライン「「その姿を見るのは、正直しんどい」保護者アンケートから②(新しいタブで開きます)」
- 不登校オンライン「ゲームのやりすぎは不登校の原因になるのか(冒頭の公開部分のみ確認)(新しいタブで開きます)」
- TOKYO多様な学びの場・居場所ナビ(東京都)「ゲーム・スマホと不登校(監修:和久田学氏)(新しいタブで開きます)」
- 埼玉県教育委員会「不登校についての体験談(保護者1)(新しいタブで開きます)」
- 埼玉県教育委員会「不登校についての体験談(保護者2)(新しいタブで開きます)」
- 埼玉県教育委員会「不登校についての体験談(保護者3)(新しいタブで開きます)」
- 埼玉県教育委員会「不登校についての体験談(本人3)(新しいタブで開きます)」
- 日本小児心身医学会「メディアおよびゲーム依存(新しいタブで開きます)」
- 厚生労働省「ゲーム依存症(新しいタブで開きます)」
- 全国精神保健福祉センター長会「全国精神保健福祉センター一覧(新しいタブで開きます)」
- 国民生活センター「子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!(2024年3月13日公表)(新しいタブで開きます)」
- 消費者庁「消費者ホットライン(新しいタブで開きます)」
- 京都市教育委員会(警察庁・文部科学省・こども家庭庁の啓発資料を掲載)「こどもがオンラインゲームをきっかけとして犯罪に巻き込まれるリスクに関する広報啓発資料(新しいタブで開きます)」
- 東京都「こどものネット・スマホのトラブル相談!こたエール(新しいタブで開きます)」
- 文部科学省「24時間に相談できる窓口(新しいタブで開きます)」
いずれも 2026年10月27日 に内容を確認しました。




